子供の頃や若い頃には良さがわからなかったけど、大人…というか、歳をとってから良さがわかるようになったものはたくさんある。
食べ物だって子どもの頃は大嫌いだったピーマンやしいたけが、今は好んで食べるようになった。
ビールにしても、大人はなんでこんなまずいものを美味しそうに飲むのか不思議だったし、ブラックコーヒーの美味しさもわからなかった。
それが今ではビールの美味しさもわかるようになり、ブラックコーヒーが大好きになった。
そしてなんといっても、子供の頃に良さがわからなかったものといえば勉強だ。
勉強は嫌いだったし、だから成績も良いほうではなかった。
大学も「特にやりたい勉強がない」という理由で行かなかったし、成人してからも仕事で必要に迫られたとき以外、勉強することはほとんどなかった。
30代で英語の勉強を始め、日常会話程度はできるくらいにはなったけれど、それでも勉強は苦痛だった。
そして40代で韓国語の勉強を始め、自分でもビックリするくらいにのめり込んで、この歳になって初めて「勉強って面白いな」と思うようになった。
そういえば「勉強」というワードは好きではなかったけど、「新しいことを知る」ことは好きだった。
だから読書は大好きだし、人から自分の知らない話を聞くのも楽しい。
知らなかったことを知るというのは、自分の世界が広がるということで、今まで行けなかったところへ行けるということだ。
韓国語の勉強をはじめてから、それまではただの「外国語」だった韓国語が自分の世界の言語になり、まったく興味のなかった韓国という隣の小さな国も、いまでは私が一番関心を寄せる、私の中では存在の大きな国になった。
勉強をすると、今まで裏向きに伏せられていたカードが表にパタリとひっくり返るように、見えなかったものが見えるようになる。
人生40年も生きていると、大体のものは見てきたような気持ちになるけど、実際は見ていないもののほうが多い。
その今まで見てこなかった世界、見れなかった世界を勉強することで見れるようになる。
そういう世界のからくりを知ったような気がして、あぁ、勉強って本当に面白いなとこの歳になって初めて思った。
若い頃はいろんなものが新しくて新鮮だったけど、歳をとって経験が増えていくと新鮮さがなくなっていく。
だからこそ、新しいことを勉強するというのは、人生を彩るのに一役買うのかもしれない。