書籍翻訳について密かに気になっていること

私は翻訳の勉強の一環として、韓国書籍の原書と日本語に訳された日本語版の2冊を購入し、原書がどのように訳されているのかを一言一句見ていくということをしています。

そして原書と日本語版を見比べていると、いろいろ気になることが出てきました。

私は翻訳に関しては素人なので、業界のルールとかそういうものを知らないからこそ気になるだけなのかもしれないのですが…

どんな業界でも本人のやりたいことが100%できるわけではなく、何か商品を販売するということはいろんな会社や人が関わってくるわけで、その中で妥協したりしなければならないこともあるのだと思います。

翻訳業界にもそういう「暗黙のルール」みたいなものがあるのか知りませんが、今回は翻訳素人の私が気になったことについて少し語ってみようかなと思います。

そこを省いてしまうのか…

原書と日本語版を読み比べていると、「その部分を省いてしまうのか…」と思うことがありました。

個人的には省かれた部分も訳してほしかったなという感想で、少し残念でした。

でもこういうのって、訳者だけの判断で出版されているわけではないだろうし、出版社の意向だったり何かしらのルールがあったりもするんでしょうね。

字幕翻訳では1秒に何文字というルールがあるように。

誤訳があってもしょうがない!?

翻訳って人間が手作業でやっているわけだし、やっぱり誤訳ってときにはあるものなんですかね?

小説を読みながら「これって誤訳??」って思う部分があり、明らかにAという人物がやった行動をBがやったように訳されていて、あえてそのように意訳しているのか、はたまた誤訳なのかが気になりました。

でも人間なんだから、どれだけ韓国語に長けていても、どれだけ翻訳業を長年やっていたとしても、間違えてしまうことなんて普通にあると思うんですよね。

ビジネスの場でも「何で誰も気づかなかったんや!?」っていうミスが起こる場合もあるし、それを考えると出版された訳書に誤訳があるということも、もしかしたら珍しくないことなのかもしれません。

とはいえ、私のように原書と日本語版を見比べて読む人なんて普通はいないし、仮に誤訳があったとしても、ストーリーの流れ的におかしくなければ誰も気づかないですよね。

業界用語をどう訳すか

日本語版を読んでいてふと気になったことがありました。

それがとある業界用語だったのですが、例えばカフェやレストランではお客さんが帰ったあとにテーブルを片づけることを「バッシング」と言ったり、ビジネスの現場で何かしらの新商品を発表することを「ローンチ」と言ったりしますよね。

こういう感じでその業界でよく使われている言葉ってあると思うのですが、日本語版の小説を読んでいてとある現場で使われていた用語にすごく違和感を覚えることがありました。

と言うのも、私はその現場で働いた経験があって、そんな用語を使ったことも聞いたことも一度もなかったんです。

そしてこのときにふと気づきました。

翻訳って自分が今まで経験してきたことすべてが役に立つ

ということを。

ちなみに日本語版で出てきたその用語、あまりにも馴染みのない単語だったので、なぜその言葉をチョイスしたのかが本当に気になります。

日本語なのに意味がわからない!?

あの、たまに日本語版を読んでいて、日本語なのに意味がよく分からない難しい単語?フレーズ?が使われていることがあります。

一応、読書好きでかなりの数の本を読んできたという自負はあるのですが、そんな私でもグーグル検索しないと意味がわからない単語が出てくることがあるんですよね。

あれって何であんなに難しい日本語を使っているのでしょうか?

これもやっぱり、表現力とか語彙力の問題なのでしょうか?

それともあえてその難しい言葉を使っているの??

小説好きの私が外国小説を絶対に読まなかったワケ

昔から本が好きで、いろんな小説を読んできたのですが、外国小説だけは全然読む気になれませんでした。

というのも、日本語に翻訳されているから

日本語に翻訳されているということは、誰かの手によって文章が書き換えられているということで、そうなると訳者の考え方や価値観などが少なからず訳文に反映されてしまう。

なので日本語に翻訳された小説は、必ず原書とは違うカラーになっているわけで…

なんかその、誰かのフィルターにかかって変換された文章を読むのが嫌で、外国小説は絶対読まなかったんです。

でも自分が今、韓国小説を翻訳するようになって気づいたのですが、翻訳された文章にはまた違った「味」があって面白い。

昔は毛嫌いしていた訳書ですが、今は読者目線だけでなく訳者目線でも楽しめるようになり、さらに読書が面白くなりました。