【韓日翻訳勉強記録⑥】意訳のやり方と文章を書くときのルール

意訳と聞くと、ちょっと斜めな翻訳というか、機転を利かせた翻訳というようなイメージを持っていた私ですが、実際に翻訳の勉強をやるなかで、少しずつ意訳に対する考え方もイメージも変わってきました。

そして私は昔から文章を書くのが好きで、ブログなどで数年文章を書いてきたのですが、翻訳をしていて「文章の書き方」「文章を書くときのルール」すごく意識するようになりました。

今回もまた、独学で翻訳の勉強をしてきて学んだことを、いろいろまとめていきたいと思います。

プロの翻訳から学んだ意訳いろいろ

プロの翻訳を見て、「そんな風に意訳しているんだなぁ」と思ったこと。

文章の前後を入れ替える

プロは原文の文章を順番通りに訳しているわけではなく、ときには前後を入れ替えて翻訳されていたりもします。

やっぱり韓国語の文章と日本語の文章って文章の書き方そのものが違うから、ハングルだと1→2が自然な流れの文章であったとしても、日本語だと2→1の流れが自然だったりする。

だから文章を訳すときは、必ずしも順番通りに訳す必要はなく、大事なことは読んでいて自然かどうか、原文の意味をしっかり反映できているかということ。

文章が自然で原文の意味が反映されているのであれば、文章の順番は前後が入れ替わることもある。

不要な部分は省略(削除)する

プロは一言一句きっちり日本語に訳しているわけではなく、文章の流れ上、不要な部分は省略したりしています。

翻訳ってそもそも、韓国語で書かれたものを一言一句すべて日本語に変換する作業ではなくて、韓国語で書かれた内容を理解し、それを自然な日本語で表現すること。

だから表現の仕方によってはある部分が省略されたり、削除されることもある。

必要であれば言葉を付け加える

日本語に翻訳するときに省略することもあれば、逆に原文には書かれていない言葉を付け加えることもある。

原文を日本語に訳すだけではちょっと意味が伝わりにくいかなってときや、日本語にしたときにより自然な文章にする場合など、必要であれば原文にない言葉を足すのも問題なし。

これはあまりにやりすぎると原文とはかけ離れてしまいそうなので、ちょっと高度なテクニックだったりするのかも!?

能動態を受動態にする

能動態の文章は必ずしも能動態で翻訳する必要はなく、場合によっては受動態として翻訳されることもあります。

例えば「~した」という文章が「~された」と翻訳されているなんてことは、結構ある。

私は翻訳の知識もスキルも経験もないので、どうしても翻訳するときにそのまま文章を訳してしまいがちだけど、日本語の文章として自然なものにするためには、もっと柔軟に考えないといけないなと思いました。

日本人がなじみのあるワードに変換する

韓国語をそのまま訳してしまうと、日本人にはあまりなじみのない言葉になってしまったりします。

例えば学園モノのストーリーに登場する「교무실」という単語。

そのまま訳すと「教務室」となりますが、日本では「教務室」っていう言葉はあまりなじみがないですよね。

日本では先生たちが仕事をする部屋は「職員室」と言うので、교무실は教務室ではなく、職員室と訳す方が自然な日本語になる。

このように韓国と日本では言い方が違う単語がたくさんあるので、こういう場合は日本人がなじみのあるワードに変換しなければいけない。

文章を切る、つなげる

プロの翻訳を見ていると、繋がっている文章を句点で区切ってしまっていたり、2つの文章を繋げて一つの文章にしていたりします。

韓国語は日本語と違って分かち書きをするので、一つの文章が長くても読みにくくなったりはしないのだと思うけど、日本語の文章って繋げてズラズラと書くので、文章が長くなると読みにくくなる。

だからより日本人が読みやすい文章にするためには、原文と同じスタイルで文章を書くのではなく、文章を切ったり繋げたりして読みやすく、理解しやすい文章に翻訳しなければいけない。

肯定文を疑問文にする

私、翻訳に関して知識がまったくない素人だったので、原文が「?」で終わっているものは、日本語でも「?」で終わらないといけないと思っていたんです。

でも日本語に翻訳された本を読んでいると、肯定文が疑問文になっていたり、疑問文が肯定文になっていたりします。

なるほど、こういう意訳もあるんだなぁと、プロの翻訳を見ながらすごく勉強になりました。

韓国独特の文化、もの、用語には説明も補足でつける

これは書籍を翻訳する場合がほとんどだとは思うのですが、日本語版の小説やエッセイを読んでいると、補足説明がある部分をよく見かけます。

例えば韓国で大ヒットした小説「불편한 편의점」の日本語版「不便なコンビニ」の最初に出てくる文章の中で、「平沢」という地名が出てくるのですが、これだけを見ると日本人はそれが地名なのが何なのか、よく分かりません。

そこで日本語版では、このように翻訳されています。

列車は平沢(ソウルから南へ六十キロほどの地方都市)あたりを走っていた。

不便なコンビニ

こういうのを見ると、翻訳するには韓国語力だけでなく韓国についても知識が必要で、わからないことは徹底的に調べて理解してから翻訳しないといけないんだなということがわかります。

小説家は本を書くときにいろいろリサーチをするということは聞いたことがありますが、翻訳家もかなりリサーチしているんじゃないかなと思う。

文章を書くときのルール

翻訳作業をしていると、翻訳に関する知識だけでなく、文章作成の知識も必要だなと実感しました。

特に書籍を翻訳する場合には、文章を書くときのルールは最低限知っておかないといけないなと思いました。

これから勉強していく予定ですが、これまでに私が学んだことを、ひとまずまとめておきます。

括弧の使い方

普段、文章を書くときに何気に括弧って使っていますが、よくよく考えると括弧の正しい使い方って知らなかったんですよね。

パソコンのキーボードで括弧を叩いて変換すると、いろんな括弧が出てきます。

  • 「」
  • 『』
  • 〈〉
  • []
  • 【】

この括弧、どういうときにどの括弧を使うんだろう?ってふと疑問に思いました。

調べてみたところ、小説では会話文には「」が使われます。

そして冒頭に会話文が来る場合、一字下げはしないのがルールだそうです。(私、下げちゃってた汗)

また、二重括弧『』は会話文の中での会話文に対して使われます。

小説の場合で使われる括弧はほとんどが「」ですが、ウェブトゥーンの場合だと別の括弧も使うようなので、翻訳するジャンルに沿って知識をつけなくちゃですね。

あと、「」を使う場合、最後に句点「。」は付けません。

三点リーダーの使い方

これも今まで何も考えずに何気に使っていたけれど、翻訳するとなると改めて三点リーダー「…」の使い方もしっかり理解しておかなくてはダメですね。

多分、普段メッセージのやり取りをするときなどにも「…」って割りとよく使うと思うのですが、そのときは「…」としたりしますよね?

でも文章を書くときには、三点リーダーは基本的に二つ繋げてかくようです。「……」このように。

小説などを読んでいても、必ず「…」ではなく、「……」と三点リーダーが二つ繋げて使われています。

三点リーダーを使うときは、偶数の数で繋げて書くのがルールなようです。

数字の書き方

なんとなーくは知っていましたが、ちゃんとは知らなかったのが数字の書き方。

基本的に横書きの場合は算用数字「1、2、3」を使い、縦書きの場合は漢数字「一、ニ、三」を使います。

そして算用数字はすべて全角にするというのが基本だそうです。(知らなかった…)

横書きの場合は算用数字を使うのですが、固有名詞や熟語に関しては漢数字を使います。(八王子、七転八倒など)

空白行について

小説には空白行がよく見られます。

翻訳をするときに、この空白部分もそのまま空白を空けるのかな?と最初は悩んだのですが、この空白にもちゃんと意味があります。

小説などで出てくる空白行は、ベージの中でシーンが変わるときに挿入されます。

普段何気に読んでいた本も、こんな風に書かれることによってより読者にわかりやすく、読みやすい文章にする工夫がされているんですね。

翻訳の勉強はやればやるほど難しく、面白い

知れ知るほど難しく、面白くもある翻訳ですが、勉強すればするほど翻訳家の方たちを尊敬せずにはいられませんね。

一体どれだけ努力しているのか…想像しただけでも頭が上がりません。

翻訳も韓国語と同じように、ちょっとやればできるようになるような簡単なことではないので、長いスパンで考えて少しずつ実力を上げていこうと思います!

とりあえず目標は45歳までに(あと一年半くらい)翻訳家デビューすること!